Making of  acoustic book cafebar by


prologue

 

夫婦二人で描いた「大好きなカフェをやって生きていく」という夢。それに向けていろんなお店を見に行って想像を膨らませたり、メニューを考えたり、お店のスタイルを考えたり、どうやったらお客さんが来てくれるか考えたり、一歩一歩理想のお店が形になるよう歩いてきました。

 

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会社を辞めてから、不動産屋さんに片っ端から電話をかけてまわりました。

「20坪くらいで一軒家で、駐車場がめちゃ広くて、あわよくば二階に住めるような場所ありませんか??」

これを定型文にして、ひたすら電話したことを覚えています。

 

そして2014年の6月、ついに今のbyの物件と出会います。元うどん屋さんの、26坪の一軒家。駐車場がめちゃくちゃ広くて、二階は住居スペース。

 

完璧な条件の物件との出会いに、夫婦ふたり飛び跳ねて喜びました。「ここしかない!ここでやろう!」。

 

このページでは、うどん屋さんだった場所をブックカフェにするまでの様子をご紹介します。

いわゆる「byの夜明け前の物語」です。

この場所が、元々は全く違う場所だった。そんなことに想いを馳せてbyを見回してもらうのも、楽しいかもしれません。

 

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episode 1

これが出会ったときのbyの姿です。もともとは10年ほど続いた人気のうどん屋さんでした。

建物の可能性もさることながら、隣の駐車場の広さが圧巻でした。

当初予定していた18席を作ったとしても、車は20台くらい停められそうです。こんな場所いままで全く出てこなかったのに。

智古はこの駐車場で運動会をするのを夢見てました。

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episode 2

こちらが中の様子。

大家さんとの契約は「どんな風にしてもらってもオッケーで、そのまま出ていってもらってオッケー」というものでした。

前のうどん屋さんもそのまま出ていかれたみたいで、たくさんのモノで溢れていました。僕たちもうどん屋をやった方が早かったかもしれません。

居抜き物件は楽だと言いますが、まったく業種の違うカフェをやるに当たってはそうではありません。うどん屋さんの什器はいらないものが多く、その片付けから入るという思わぬマイナスからのスタートになりました。

ホコリ、くもの巣、虫の死骸など建物の中には智古の苦手なモノばかり。

「絶対にこの場所に私を一人にしないで‼‼」と半べそになりながら作業をしていました。笑

 

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episode 3

6月に初めて物件を見てから2か月後。無事に融資審査も下り、8月13日に物件契約を済ませてついに二人の夢が現実に近づきました。

まだそれぞれ仕事をしていたので、仕事後にお店に来て作業をするという毎日。

エアコンのない中の真夏の作業は完全に地獄。

夢が近づくワクワク感もありましたが、夜中に作業を終えて帰る車の中は、疲労困憊で二人とも無言でした。

 

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episode 4

憧れのカフェオープンの師匠にならって、できるだけ自分たちの手でカフェを作り上げようと様々なDIYに取り組みました。

テーブル、椅子、床の張替え、壁の塗装、窓枠、本棚、ドア、食器棚・・・全部初めてのことだらけ。よく形になったなぁと思います。

一番難しかったのは材料を必要なサイズに切ること。床の長さを間違えて足りなかったり、材料のサイズを切り間違えて余り過ぎたり・・・。

ごまかした箇所はいまだにbyのいたるところにあります。

「まぁ、これも味でしょ?」がこの頃の口癖。

ちなみにこの写真、智古の子分感が出てて大好きな一枚です。笑

 

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episode 5

自分たちでできないところは業者さんに入ってもらいました。

素人二人の話を真剣に聞いてくれ、しっかりとカタチにしてくださった業者さん。

おかげで、締まるところはきちんと締まり、しっかりした「お店」になりました。

ある夜、いつも通り仕事後に店舗物件に向かうと、外壁を塗るために足場が組まれていました。その足場が、入口のドアを完全に封鎖していて入れない状態にされていたのには爆笑。

体の小さい智古はスルスルと足場を抜けて入口に到着したのに、体が硬くて顔がでかい僕は足場を抜けることができませんでした。

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episode 6

オープン日を11月11日に決め、急ピッチで準備を進めます。

自分たちで作り上げていくところをやっていく毎日。逆算してスケジューリングするのが好きな旦那と、気まぐれ天才タイプの妻とで全くかみ合わないので、【完全分業制】でコトを進めることにしました。

結局智古は(やっぱり)予定通りに進まず、試作やシミュレーションは全く出来ないままオープン日が近づいていきました。

やばいやばい。

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episode 7

いよいよ業者さんによる施行が終わり、お店らしくなってきたby。

ここで、智古が「ショコラ」という映画を観て憧れていた「オープン前のお店の中が見えないよう窓を英字新聞でおしゃれに隠す」ということをやってみることに。

楽しくマスキングテープで貼っていき、全部覆えて完成!

ワクワクしながら外に出てから見てみると・・・なんだかめちゃくちゃ怪しい感じに。

智古が用意していた英字新聞が、ゴシップ誌だったことが原因かもしれません。

文字よりも写真の方が目立ったり、英字新聞のはずがなぜかアラビア語チックな文字もあったり・・・。

「うーん、思ったのと違うね・・・。」

誰にも見られない内に、貼った端からすぐに全部外していきました。あれはがっかりだったねぇ・・。

 

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episode 8

 

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11月に入り、オープンまであと10日。

食品衛生責任者の資格を取り、保健所の検査も無事通過。お店をやるための資格はゲット出来ました。

感慨深かったのは、保健所の検査結果が出る日の朝に巻いていたミサンガが切れたこと。

智古と結婚してすぐのころに作ってくれたミサンガには、「一緒にカフェをやろうね」という願いを込めていました。それが切れた日に保健所から開業許可が下りたことは、単なる偶然ではなかったようにも思います。

ちっちゃい車でお店の備品を買いに行ったのも楽しい思い出。ぎゅうぎゅうぱんぱんになりながらも全ての荷物を詰め込んだ時は感動!

だけど、自分は運転席にも入れず、ぐちゃぐちゃの荷物に紛れるように身を小さくして帰ってきました。

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episode 9

こうして2014年11月11日、私たちは蒲郡市形原町にてacoustic book cafebar byを始めました。

初日、18席の小さなお店には入りきれないくらいのお客様が来ていただきました。正直、夢を叶えた嬉しさも、たくさんのお客様が来てくれたことへの嬉しさも、感じる余裕が全くないまま一日が終わりました。

とんでもなくお待たせして頭を下げてばっかりだったり、二人で暮らしていた時には考えられない量の食材を仕込んで、しかもそれが一瞬で消えてなくなったり。一日中余裕なく動き回って体中がしんどかったり。

営業が終わった後には二人して泣いてしまいました。それは嬉しくてではなく、「こんなに大変な日々が続くなんてイヤだぁぁぁ。もうやめたいぃぃぃぃ。」という感じで。笑 

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epilogue

こうして始まったacoustic book cafebar byというお店。

たくさんの方にご来店いただき、応援していただいたおかげで、まだお店を続けることが出来ています。

思い返してみてもやっぱり、素人ふたりの無謀な挑戦でした。開店後3か月で火事になったり、年末年始10連休取って潰れかけたり、ストレスでお店を辞めたくなったりもしました。

だけど、やっぱり愛情をもって作ってきたお店を出来る限りやっていけたらいいなぁと思っています。

もちろんずっとなくならないなんて思っていません。

ただ、やれる間は自分たちなりの精一杯で楽しくbyを成長させていこうと思います。

これからも素敵な出会いがこの場所に訪れることを願って。

acoustic book cafebar by 西村郁弥

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↓byの二人についてはこちら↓

~TWO OF US~